Daniel Schnyder Flute Works "Manhattanite"
『吉岡次郎/シュナイダー(シュニーダー)・フルートの世界~マンハッタンの風』
2009/9/25リリース WWCC-7621 LIVE NOTES ¥2,625

演奏: 吉岡次郎 (フルート)、長尾洋史 (ピアノ、チェンバロ)、 長明康郎 (チェロ)

 

バンドジャーナル2009年12月号(615号)
人気作曲家の”カッコイイ”世界初録音
 クラシックとジャズを融合させた作風で高い人気を誇るダニエル・シュナイダーのフルート作品を集めたアルバム。現代音楽というと、実験的なものか、その楽器の世界だけに通用するものが多いなか、このシュナイダーの作品は、時代を反映する内容を持ちながら、聴きやすく何よりもカッコイイ。ここでフルート独奏を務める吉岡は、スピード感のある音色をうまくコントロールして、シュナイダーの世界をみごとに表現。フルートのための作品を集めたアルバムはこれが世界初であり、このような良質な企画を日本人によって成し遂げられたことは世界に胸を張っていいだろう。新しいフルートのレパートリーを探している方はぜひ聴いてほしい1枚だ。
(音楽ライター: 佐伯 茂樹)

パイパーズ 2009年11月号 (339号)
ジャズメンのソナタ
1961年チューリッヒ生まれのシュナイダー。彼自身がジャズ・サクソフォン奏者で(フルートも吹く)、作曲家としては当然ながらジャジーなイディオムを多用。しかしテンポの遅い楽章になると汎20世紀的フランス現代音楽調(かえって意味不明かな)の書式で幻惑的なサウンドをふりまいたりもして、一筋縄ではいかない。
フルート・ソナタは2000年の所産で演奏時間は18分半(ちなみに日本初演は2004年のツアーでエマニュエル・パユが果たした)。上記の言辞があてはまる3楽章構成で、テイストとして好悪を分かつかもしれないが、生まれてまだ日の浅いフルート作品の中でも広く知られるに値する存在だと思う。グリッサンドの効果を追求した無伴奏曲「セイリング」。疑似バロック的タッチでチェンバロも用いた「ロッホネス」と「パッラーディオ」。多重録音で収められたフルート二重奏のための「プロヴァンス組曲」。ソナタ同様の雰囲気を持つ三重奏曲に、いわずもがなの「肖像」。彼のフルート作品を集めたアルバムは世界初でもあり、深い共感に満ちた演奏はシュナイダー入門編として何ら不足はない(そしてまた部分的には本職のジャズメンで聴いてみたくなる類の音楽でもある。)
(音楽評論家: 木幡 一誠)

JAZZ TOKYO Jazz and Far Beyond
楽しくて、お洒落。クラシカルで軽やか。
ヘミングウェイが愛したハバナのレストラン、フロリディータで聴いた女性フルーティストを思い出す。黒のシックなドレスに金髪、銀のフルートが揺れ、素敵だった。
ここでのフルートはバーゼル、カールス・ルーエで学び、現在活躍する若手、吉岡次郎。チューリヒ生まれ、NY在住のサキソフォニスト&作曲家のダニエル・シュナイダーのはじめてのフルート作品集とのことで、日本でのリリースに感謝する作曲家の言葉がライナー・ノーツにある。この1枚に集った人々の温かさとか幸福感がそのまま伝わって来るようなハートフルな演奏と音楽。各曲それぞれにチャーミングな表情を見せ、どれも鮮度抜群だ。
fl・ソロ「セイリング」での尺八風うねうねグリッサンド、2本のflのための「プロヴァンス組曲」9曲での多彩に、吉岡の敏捷、かつしなやかなセンスが光る。長尾洋史pf.&cemb.と長明康郎vc.もいい。こんな音楽、持ってたんだ、と、ちょっぴり意外感が、これまた新鮮なのである。ネス湖の怪物ロッホネスのイメージをバロック・トリオ・ソナタに仕立てたフルート、チェンバロ、チェロとの三重奏曲「バロック・ロッホネス」とか、ジャズとラテンの味を加えた「fl. vc. & pf.のための三重奏曲」(レント楽章で唸るチェロもいい味だ)など、溢れる遊び心をみんなで飛び回って楽しむさまに、こちらも心弾む。最後は「チャーリー・パーカーの肖像」で粋に締めた。秋の透明な日溜まりを散策するように聴きたい1枚である。
(丘山 万里子)

CDジャーナル
 スイスに生まれアメリカを拠点に多方面で活動する音楽家シュナイダーのフルート作品集。その技、達者である。耳に心地よいサウンドから、ザラリと感性を刺激する書法までアイディアや要求に応じて自在に使い分け、あやまたずイマジネーションを彷彿結実させる。